近年、相続税の財産評価基本通達総則6項、通称「総則6項」を巡る判決が相次いで出されています。相続税の計算において、通達の規定に基づき評価された財産の評価額が「著しく不適当」と認められる場合には、この総則6項の定めにより、国税当局が通達によらない別の評価方法を採用できることから、当局の「伝家の宝刀」などとも呼ばれています。近年の複数の判決によって、その適用基準がある程度明らかになったことも踏まえ、総則6項が、そもそもどのような規定なのか、その適用基準である「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情」=「特別の事情」とはどのようなものであるかを考察していきます。